「足を切って、歩率も切る」・・・・タクシー業界の“足切り”

乗務員の給料

今回は「「足を切って、歩率も切る」・・・・クシー業界の“足切り”」を書こうと思います。

とりま、「足切り」と聞けば、一般社会では「ふるい落とし」や「選別」のようなニュアンスがありますが、タクシー業界においては少々事情が異なります。
ここで言う「足を切る」とは、営業成績が一定のラインに届かなかった乗務員に対して発動される、やさし〜いペナルティ制度のことです。(笑)

しかもその「足切り金額」、実は2種類あるってご存知でしたか?・・・・知らんけど(笑)
同じ言葉でも会社や文脈によって意味がまるで違い、制度説明書にも書かれていなく、つまり、「言葉の定義」よりも「給料の削減」が先にやってくるのがタクシー業界界隈の世界なのです。

【足切り金額①:最低歩合の発動ライン】

最も広く使われている「足切り金額」とは、営業収入が一定金額に達しなかった場合に、最低歩合(たとえば40%)しか適用されないという制度です。

例えば──
・営収24,900円 → 歩率30% → 支給額7,470円
・営収25,001円 → 歩率50% → 支給額12,500円

このように、たった100円の違いで給与が5,000円以上も変わります。乗務員からすれば、給料ではなくメンタルを削られる仕組みで草です。

しかも、雨だろうが猛暑だろうが、乗客ゼロでも「歩合」は変わらず、「そんな日に足切りに届かなかったのは努力不足」と、笑顔で処理され(笑)です。

【足切り金額②:積算歩合の切り替えライン】

もう一つの「足切り」、積算歩合制の中で登場するパターンです。

これは、営業収入の額に応じて歩率が段階的に変化していく仕組みで、そして、その切り替えポイントたとえば30,000円、50,000円、70,000円といった区切り金額も一部の会社では「足切りライン」と呼ばれることがあります。

例えば、~30,000円 → 40%・・30,001~50,000円 → 45%・50,001円以上 → 50%

これを聞けば「頑張った分だけ報われる」と感じるかもしれませんが、実際にはどこにどの歩率がどう適用されるのか曖昧なケースが多く、給与明細も「謎計の式」満載です。

【足切り金額②:積算歩合の切り替えライン】

タクシー会社の歩合制度には主に「累進歩合制」と「積算歩合制」があります。
どちらも一見「努力が報われる」ように見せかけていますが、実際には希望をチラつかせるだけのニンジン方式です。

● 累進歩合制=ゴールを超えて初めて報酬が変わる
「累進」とは、ある売上ライン(たとえば50,000円)を超えた超過分にのみ高歩率が適用される方式です。

例えば
・0〜50,000円 → 45%
・50,001円〜 → 超過分にだけ55%

つまり、49,999円だとそのまま45%。50,001円になっても、その「1円」だけが55%。
「ギリ届かない悔しさ」を毎日味わわせる設計になり、努力したつもりでも、財布の中身は変わらなく、まるで「やる気試しの罰ゲーム」で草が生えます。

● 積算歩合制=段階的に報酬が上がるようで、上がらない?
こちらは、売上が上がるごとに段階的に歩率が変わる仕組みで、「売上に応じた公平な評価」に見えるのがミソです。

ただし、以下のように計算方法が会社ごとにバラバラで・・・・

・A社:各区間ごとに異なる歩率を適用(30,000円までは40%、それ以降は45%)
・B社:境界を超えた瞬間から全額に新しい歩率を適用する(50,001円超えたら全部50%)
・C社:「歩率の詳細は非公開」とだけ言われる(←実際にある)

要するに、「計算式は企業秘密、でも努力だけは求める」事になるのがタクシー業界です。

【具体的な会社例)】
● ○○交通:足切り30,000円、未満は30%、以上は50%。日給1万円を割る日も。
● ××タクシー:積算歩合で段階制。ただし「区切り金額は毎月変動」と言われる。
● △△自動車:歩率表を公表せず、「だいたい50%くらい出るから」と口頭説明のみ。

一部の大手を除けば、給与計算がブラックボックス化しているのが実情です。
明細を見て「これ本当にこの売上で?」と感じた乗務員も少なくないでしょう。

【労基法との関係=合法とは言ってない】

「歩合制」は一応は「成果報酬」として労基法で許容されてはいますが、問題になるのは最低賃金との関係です。
要は、営収が少ないと歩合も下がり、1日9時間以上働いて日給6,000円未満というケースや、タクシー乗務員は拘束時間が長いため、時給換算すると1,000円を下回る日も有るそうです。

このような状態でも「労基署が動かない=合法」というわけではありません。

一部の労働弁護士は、「足切りによる極端な歩合制は事実上の最低賃金違反」と指摘していて、法的グレーゾーンであることは間違いないのです。

「足切り」とは言うけれど・・・・」
切られているのは、足よりも希望かもしれませんネ。(苦笑)

努力しても届かず、文句を言えば「歩合制だから」の一言で済まされ、果たしてこの制度、誰のためにあるのでしょうか?。‥‥・知らんけど