合法の皮をかぶった18時間労働・・・・タクシー隔勤という「名ばかり休憩」の現実

乗務員の給料

今回は「合法の皮をかぶった18時間労働・・・・タクシー隔勤という「名ばかり休憩」の現実」を書こうと思います。

とりま、法律は守っているしルールにも従っている。・・・・だから問題ないは本当にそうでしょうか?

タクシー業界では「隔勤」という勤務形態が当たり前です。1日おきの出勤で長時間働き、翌日はしっかり休む、一見すると合理的に見える働き方ですが、その実「拘束21時間」、「労働18時間」の世界が広がっています。(笑)

以前は、隔勤における「3時間の休憩時間」が労働基準法や改善基準告示にどう根拠を持つのかを紹介しました。

今回はその続編として、「合法」に見える労働構造の中に潜む矛盾と書こうと思います。

【「9時間乗務+1.5時間休憩」を2回繰り返せば合法?】

タクシー業界の隔勤勤務では、分かり易く知る為、「9時間乗務+1時間半休憩」のセットを2回繰り返して、拘束時間を合計21時間におさめる事とします。この拘束21時間は国交省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)】の中に、2暦日の 拘束時間として「22時間以内、かつ、2回の隔日勤務を平均し1回あたり21時間以内」と定められています。

上記した厚生労働省の改善基準告示によれば、拘束時間は最大21時間まで、つまり、「9時間労働+1.5時間休憩×2セット=21時間」はピッタリ拘束時間は合法になります。・・・・いやぁ~、見事な運用です。(笑)

当然、その間に1.5時間×2回の3時間の休憩も含まれていますから、「休憩時間も確保されているので問題なし」と処理されます。・・・・ウ~ン、なるほど、完璧な数字の論理です。

【18時間労働? いえ、計算の問題です】

形式上の拘束21時間から休憩3時間を差し引けば、労働時間は18時間になりますが、「休憩してるから問題ないですよね?」というのが建前です。

引っ越し前のブログでも紹介した通り、休憩時間は、昼食・夕食・深夜仮眠などで分割取得されます。

この3時間自体は形式上「自由に使える」とされています。

しかし実際には現場では、昼は営業エリアを離れる余裕もなく、車内でコンビニ弁当を急ぎ食べ、夕方はトイレ休憩と食事を同時に済ませ、次の配車を気にしながらそわそわ、深夜の仮眠は、車内でエンジン音をBGMに、リクライニングシートでうたた寝で草。

確かに「自由に使える」時間です。でもその自由は、「労働から完全に解放された時間」という定義にはちょっと遠いような……?。

とはいえ、帳簿上は問題ありませんので、安心して疲労してください。(笑)

【法律と業界慣習の“ねじれ構造”】

そもそも、労働基準法第34条では、「6時間を超える勤務には45分、8時間を超えれば1時間以上の休憩」が必要とされています。

しかし、タクシー業界では「改善基準告示」という“例外”が存在します。これにより、1日最大21時間の拘束が認められ、「労基法ではダメでも、改善基準があるからOK」という、まるでダブルスタンダードのような運用が現場で日常化しています。

こうして「法を守っている」という安心感だけが残り、肝心の乗務員の安全と健康は、数字の陰にすっかり隠れてしまいました。

【安全第一? いんや、数字第一(苦笑)】

歩合給という制度もまた、事態を複雑にしていて働けば働くほど稼げる歩合構造です。だからこそ、運転手自身も休むより走ることを選ぶ。・・・・・自由意志と言えば聞こえはいいですが、実質的には「休んだら収入が減る」とい強制力がタクシーの歩合制です。

連続運転は原則4時間以内というルールも、間に10分15分のインターバルを挟めば再び4時間乗れるという改善運用が存在します。

合法的に、終電から始発まで休みなく走る乗務員も少なくありません。

それでも、帳簿にさえ「適正」と書かれていれば、事故が起きても制度は何ひとつ責任を取りません。

【ルールを守っていれば、現場が壊れていてもいいのか?】

「拘束21時間、休憩3時間」は帳簿上は完璧ですが、でも実態は18時間の乗務と仮眠もどきの休憩を繰り返しで草。休憩は自由に使えるが、精神的・肉体的には完全に休めるとは言い難く、改善基準告示という“抜け道が常態化し、労基法の意義は実質骨抜きで、数字上の休憩は存在し帳簿にもきちんと記録されていて、でも、運転手の身体と脳みそは、その帳簿を信じてはくれません。(苦笑)

制度が“守られていることと、乗務員が守られている”ことは、必ずしも一致しないのです。・・・・・タクシー隔勤という「皮をかぶった合法労働」に、もう一度問い直す視線を。