今回は「未来のはずが…? ニューヨークのタクシーが選んだ現実、日産NV200という夢と、RAV4という日常」(長!笑)を書こうと思います。
とりま、今から10年以上前に「未来のタクシーがやってきた」そう息巻いて登場したのが、あの日産NV200。2011年にニューヨーク市が「Taxi of Tomorrow=明日のタクシー」と華々しく発表し、「これからはコレ一択」とばかりに進められた次世代計画でした。
ところが、ふたを開けてみれば……今やニューヨークの街角を埋め尽くしているのは、トヨタのRAV4やプリウスたち。
結局、人も車も「理想」より「現実」か?。
華やかなデビューを飾ったNV200の姿は今や少数派。なぜ、かつての「救世主」が退場し、RAV4という「普通」が王道になったのでしょう?
今回はその「未来予想図がズレた理由」を書きたいと思います。
ニューヨークのタクシーが選んだ現実・・・・
2011年、ニューヨーク市は大々的に「次世代タクシー構想」を打ち出し、日産NV200を「公式タクシー」に指名。
ガラスルーフにUSBポート、スライドドアに抗菌シート。まるで高級ミニバンのような装備に、当時は「これが未来じゃネ」と多くのメディアが飛びつきました。
・・・・・ええ、たしかに夢はありました。机上の空論としては。(笑)
【ドライバーの現実:「燃費?でかすぎ?整備費?」】
ところが実際に走らせたドライバーたちの声は・・・・・
・「燃費が悪い」
・「車体が重くて取り回しが悪い」
・「修理代が高いし、部品がすぐ手に入らない」
要は、未来仕様のはずが現場の現実にまったくマッチしなかったわけです。乗るのも使うのも現場の人間です。かっこよさより、まずは「実用性と維持費」。そこを見誤ったまま、TLC=タクシー・リムジン委員会は未来だけを見ていた・・・・ということなのでしょう。
【王道を行くRAV4とプリウス:「結局トヨタかいい!」】
そして、徐々に街に増えていったのが、トヨタのプリウスやRAV4ハイブリッドです。
・圧倒的な燃費性能
・豊富な部品供給
・整備しやすいエンジン構造
・SUVで荷物も乗せやすく、乗り降りも楽
何より、タクシー業界ではおなじみの「壊れにくさ」がドライバーにウケたのです。
ニューヨークのような過酷な街を走るなら、そりゃ世界の「信頼と安定のトヨタ」に落ち着きますよネ~。
【NV200はなぜ“消えたのか?】
今もNV200はゼロではありませんがでも数は激減してるそうです。一部はUberやWheelchair Taxi=車椅子対応車として細々と走っています。
市が「これしか認めない!」と強引に進めようとした統一政策は、裁判沙汰にまでなり、結局「車種は選べる」という結論に落ち着いたしうです。気がつけばNV200は「選ばれない選択肢」に・・・・(笑)。
未来を一任された車が、結局は誰にも選ばれないという未来・・・・・皮肉が効いています。
そしてこれは、実はアメリカだけの話ではありません。
日本国内でも、かつてタクシー業界を支えた日産の(クルー、セドリック、NV200など)は、いまや新車供給を事実上終了。
トヨタ車(JPNタクシー、クラウンHV、シエンタなど)に市場を明け渡し、
そして、日産はタクシー車両からひっそりと撤退しました。
かつての「標準車」は、いまや「懐かしの車両」・・・・(苦笑)。
「明日のタクシー」は、結局、昨日で終わっていたのかもしれません。
【それでも、夢を見る政策は必要】
ここで「ほら見ろ、やっぱりトヨタ最強じゃネ」とだけ言うのは簡単ですが、そもそも行政が「未来を見よう」とした試み自体は、決して悪くありません。
ただしその未来、ドライバーと乗客の今を無視してはいけなかったようで、どんなにカッコよくても、維持できなければタクシー車両にはなりません。「未来を語るなら、足元を見ろ」・・・・・そんな教訓が、この日産の失敗には込められている様です。
【理想より実用、それがタクシーの現実】
結局、2011年に華々しくデビューしたNV200は「理想の亡霊」となり、気がつけば街を走るのは、静かにしっかり仕事をこなすRAV4とプリウスたち。
ニューヨークの街は今日も、地味でタフな「現実主義」のRAV4たちで埋め尽くされています。
そして多くのドライバーがこうつぶやくのです。・・・・・「結局、トヨタCar~」と。(*^-^*)