隔日勤務は本当に「楽」なのか?数字と健康リスクを見る

タクシー

今回は「隔日勤務は本当に「楽」なのか?数字と健康リスクを見る」を書こうと思います。

タクシー業界の求人広告には、「隔日勤務は月11回月〜12回程度」といったフレーズがよく登場します。
確かにカレンダー上では勤務日数が少なく、自由時間が多いように見えるかもしれませんが、しかし、現場で働く乗務員の実態を見れば、その言葉がいかに表面的かが分かります。(苦笑)
今回は、一般サラリーマンの生活と比較しつつ、隔勤の実態や健康リスクを数字で確認していきます。👌

【サラリーマンが“オール”で遊ぶとこうなる】

一般的なサラリーマンを例に考えてみると・・・・

  • 勤務時間:9時〜18時
  • 通勤時間:往復2時間
  • 起床:7時
  • 帰宅:18時

ここで、帰宅せずに18時から翌朝3時まで遊んだとします。翌日また7時に起きて出勤するとなると、週3回繰り返した場合、体は確実に悲鳴を上げます。
この状態は、隔勤タクシードライバーの勤務パターンと非常に似ています。

【隔勤は“強制オール勤務”】

タクシー隔日勤務の一般的なスケジュールは次の通りです。

  • 出庫:朝8時
  • 乗務終了:翌朝2〜3時
  • 休憩:合計3時間(仮眠として使用)

拘束時間はおおよそ20時間程度で実働は18〜19時間。
休憩3時間は仮眠でしかなく、眠気は和らぎますが、疲労は解消されません。(苦笑)
言い換えれば、サラリーマンが無理して「オールで遊ぶ」生活を、隔勤ドライバーは「仕事として」週に数回繰り返しているのが現状です。

【数字で見る隔勤の実態】

項目数値補足
1乗務の拘束時間約20時間運転+休憩含む
実働時間約18〜19時間休憩3時間を差し引いた時間
月間拘束時間上限262時間(270時間まで36協定可能)労使協定に基づく
月間乗務回数11〜13回月の勤務日数目安

この様に「勤務日数は少ない」反面、1回あたりの負担は非常に大きいことが分かります。

【健康リスク:長時間・不規則勤務の代償】

隔勤の問題は単に長時間労働だけではありません。

  • 深夜・早朝勤務による体内リズムの乱れとホルモンバランの乱れ
  • 不規則な生活習慣(食事・睡眠・運動不足)
  • 長期的な疲労の蓄積

これらは、様々な研究で健康リスクとして指摘されています。

脳・心疾患リスク

隔勤勤務・夜勤を行う人は、昼日勤者に比べ心疾患や脳疾患のリスクが高いとされています。日本の運輸業でも過労死認定件数が多く、これは単なる残業時間だけでなく「不規則勤務・長時間拘束」が影響しています。

生活習慣病

トラックドライバーの調査にはなりますが、肥満率22%、高血圧19%、糖尿病5%超。長時間座位・夜間勤務・不規則な食事などが影響していると考えられます。タクシーも同様の傾向があると考えられます。

【「休憩3時間」は疲労回復にならない】

タクシー会社側は「隔勤には休憩3時間がある」と説明しますが、これは実質仮眠の時間です。シートを倒して仮眠をすれば眠気は少し解消されても、体の深部疲労は残ったままです。
休憩後に再び運転を続けることで、集中力の低下や事故リスクも高まります。

【個人タクシーが隔勤を選ばない理由】

自由度の高い個人タクシーでも、隔勤勤務を選ぶ人がいるって事なんて聞い事が有り有ません。(苦笑)
理由は明白で、経験的に個タクのドライバーは「隔勤は体に負担が大きすぎる」からを知っているからです。(苦笑)
ベテランほど、この勤務形態のリスクを熟知しているため、日勤や夜勤の組み合わせ勤務を選ぶのがデフォルトです。

【纏めると】

隔勤は決して「楽」な勤務体系ではありません。

  • 1回20時間前後の長時間拘束
  • 3時間休憩は仮眠でしかない
  • 月262時間の拘束で疲労が蓄積
  • 長期的には心疾患・生活習慣病リスクが高い

「月12回勤務で自由時間が多い」という求人広告の言葉に惑わされると、後悔することになります。
サラリーマンが週3回オールで遊ぶと体が持たないことを想像すれば、隔勤の過酷さは直感的に理解できるはずです。😱