今回は「障割りは誰が負担しているのか?」を書こうと思います。
とりま、タクシー乗務員にはお馴染みの「障割り」ですが、タクシーに乗るとき、障害者の方が料金の割引を受けられる事をご存じでしょうか。
自分は、この業界に入るまで知りませんでした。(笑)。障害者割引は1割引き。普段の生活ではあまり目にしない制度ですが、業界に入ると当たり前のように存在しています。
しかし、この割引は「何もせずに自動で適用される」わけではありません。障害者手帳を乗員員に提示して初めて、正式に1割引きが適用されるのです。今回は、割引の仕組みや現場での実態、そして法律や通達の背景まで、少し詳しく見ていきたいと思います。
【割引の適用は手帳提示が前提】
障害者割引は、身体障害者の方が身体障害者手帳を乗務員に提示して初めて適用されます。
乗務員であれば経験があると思いますが、「手帳を見せずに『障割で』」と言ってくる方も少なくありません自分も何度も経験しました(笑)。
そんなときは「手帳をお願いします」と伝えます。すると、中には「前の運転手は見せなくても割引にしてくれたのに、今回の運転手は信用しないの?」と逆ギレする方もいて、正直笑ってしまうこともあります。(苦笑)
法令では、手帳の確認義務は運転手にあり、忘れた、なくしたという理由では割引は適用されません。前回の運転手が手帳なしで割引したケースもありますが、それは例外です。
【障害者手帳の対象と見た目だけではわからない現実】
身体障害者手帳の対象は幅広く、視覚障害・聴覚障害・平衡機能障害・音声・言語・そしゃく機能障害・肢体不自由・内部障害(心臓・腎臓・呼吸器・消化器・免疫・肝臓など)があります。
 たとえば腎臓透析を受けている方も希望すれば手帳が交付されます。
 つまり、外見だけで障害の有無を判断することはほぼ不可能です。悪意を持った人は、「手帳を見せずに割引して」と言ってくることもあります。
そのため、手帳の提示は法律上必須であり、運転手は必ず確認する義務があります。
【割引は法律ではなく通達で規定されている】
障害者割引の1割引きは、法律ではなく、平成14年1月17日付で国土交通省が各地方運輸局宛に出した通達「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について(国自旅第100号)」に基づくものです。
通達にはこう記載されています:
「身体障害者割引は、身体障害者福祉法による身体障害者手帳を所持している者に適用し、割引率は1割とする」
つまり、障害者割引は1割であることが明確に示されており、運転手が手帳を確認する義務も通達で規定されています。
【割引額の負担は誰がしているのか】
この1割引きの費用は誰が負担しているのでしょうか?。障害者割引は「公共的割引」とされていますが、通達には具体的な負担方法は書かれていません。
実際の運用では、ほとんどのタクシー事業者が事業者負担で割引を実施しています。ただし、中には乗務員個人に負担させている会社もあり、今どき驚くケースもあります(@_@)
【纏めると】
 タクシーの障害者割引は、見た目にはシンプルな「1割引き」ですが、背景には法律や通達、現場での確認義務という複雑な仕組みがあります。
 手帳を提示するかどうかで適用されるかが決まる・・・・そんなルールの裏には、乗務員の判断と制度の知識が欠かせません。👌
 
  
  
  
  
