今回は「運賃改定の通達と歩合給の実態・・・・増収分は本当に運転者に還元されているのか?」を書こうと思います。
とりま、タクシーの運賃が改定されると、「乗務員の賃金も上がるはずじゃネ?」と思いがちです。(苦笑)・・・しかし、実際には行政の通達と現場の実務には微妙な差があるので、今回はそのあたりを整理してみたいと思います。
【運賃改定時の通達とは?】
この運賃改定があると、国土交通省や各運輸局から通達が出され、この通達の趣旨は、端的に言うと・・・・以下の様になっています。
- 運賃改定による増収分を、運転者の労働条件改善に充てること
- 労働条件改善には、賃金(歩合率)、勤務環境、安全対策なども含まれる
- 法令遵守と透明性の確保を徹底すること
・・・・です。
実務上は、通達文面は回りくどくて、直接「歩率を○%にしろ」とは当然に書かれていません。しかし、言いたいことははっきりしていて、「運賃改定の増収分を会社が吸収するな、運転者に還元せよ」ということです。
【増収分の適切な配分=歩率を下げないこと】
通達でいう「増収分の適切な配分」とは、基本的に 歩率を下げず、必要に応じて上げること を意味します。(苦笑)😱
なぜなら、歩率を下げると、運賃が上がっても運転者の収入が減ったり、変わらなかったりする場合があるからです。
| 区分 | 改定前 | 改定後(10%値上げ) |
| 売上 | 55万円 | 55万円 |
| 歩率 | 50% | 50%(下げなけれ) |
| 乗務員収入 | 25万円 | 27.5万円 |
歩率を下げなければ運賃改定会社が行われると、会社が努力しなくても自然と乗務員の収入は自然に増えるわけです。
【賃金体系の見直しはほとんど行われていない現実】
とはいえ、通達で求められている「賃金体系の見直し」は、実務ではほとんど行われていないのが現実です。(苦笑)
理由は大きく分けて3つあります:
- 歩率を簡単に変更できない
- 長年固定されている賃金体系を変えるには、労使合意が必要で簡単ではありません。
- 通達は法的拘束力がない
- 通達とは「行政指導」の一種なので、行政指導は従わなくても罰則はありません。
- 業界慣行と経営判断
- 歩合給中心の給与体系では、歩率を据え置くことで乗務員の収入は増えるため、積極的な見直しは不要と判断されることが多い様です。
【纏めると】
運賃改定の通達は「増収分を運転者に還元せよ」が基本👍
- 実務的には、歩率を下げなければ自動的に還元される😱
- しかし、通達が意図する「賃金体系の見直し」はほとんど行われていない😢
- 行政の言い方は回りくどいが、言いたいことは「歩率を下げるな」という本音に尽きる🤷♀️
運賃改定の通達は、法律や賃金体系の制約の中での「行政のお願い」に過ぎません。(苦笑)
そのため、現場の会社ごとの判断や慣行によって、実際の賃金への影響には差が出るのが実情です🤷♀️

