今回は「DeNAの配車アプリ戦略と分社化とGO統合は成功だったのか?」を書こうと思います。
とりま、配車アプリ業界はコロナ禍の2020年以前は 赤字が続く中でのシェア争いが激しく、経営判断の難しさが際立っていました。
DeNAも例外ではなく、かつて赤字続きだった自社配車アプリ事業を分社化し、JapanTaxiとの統合によってGOブランドを立ち上げました。
この戦略は結果的に成功を収めましたが、一般的な経営判断の視点から見ると「将来黒字化が期待できる部署を手放した」とも言えますがそれはどうなんでしょう?
【分社化の背景と意図】
当時のDeNAの配車アプリ事業は赤字が続き、本体の財務に負担をかけていました。
- 短期的に財務リスクを回避するため、DeNAは事業を切り離して 別会社化 しました。
- 分社化によって意思決定がスピードアップし、外部からの資金調達も容易になりました。
- ただし結果論になりますが、将来黒字化する可能性があるアプリ配車事業を分社化することで、親会社が将来的に利益を享受できないリスクも存在しました。
【JapanTaxiとの統合とGOブランド化】
日交は先ず自社専用の「日本交通タクシー配車」アプリを提供して、その後2011年12月に全国のタクシー会社と提携をして、利用出来る「全国タクシー配車」アプリと拡張され、2018年に全国タクシーから名称を「ジャパンタクシー」の変更し、その後2020年4月にDeNAの配車プリの「モブ」と統合し現在の「GO」になりました。
- 分社化後、前記したDeNAは日交の旧JapanTaxiと合併し、GOブランドを立ち上げました。
- 結果、GOは日本国内タクシー配車アプリで シェア70%超 を確保。
- 利用者数と加盟タクシー数が増加したことで、マッチング効率やネットワーク効果が飛躍的に向上。
- ブランド統一によりマーケティング効率が改善し、事業の収益化可能性が高まった。
【もし、統合せずに単体運営していた場合のリスクは?】
- もしDeNA単体で運営していた場合、以前からの赤字が長期化する可能性が高く、利益化は困難。
- 加盟タクシー数の少なさからネットワーク効果も限定的で、利用者拡大に限界があった。
- 結果として、単体では黒字化は難しく、事業継続自体にリスクがあったと考えられる。
【結果論と経営判断の評価】
- 短期的には「将来黒字化が期待できる事業を分社化した」という損失感もある。
- しかしながら、長期的にはGOブランドの統合によって圧倒的な市場シェア70%を確保できたため、 結果論的には成功した戦略 と言える。
- 当時はここまでのシェア率70%を拡大が予測できなかった可能性が高く、経営判断としてはリスクと成長のバランスを取った合理的な決断だった。・・・結果論(笑)
【コロナ禍の影響】
- 2020年春以降、コロナ禍で外出自粛や旅行制限でタクシー需要が激減。
- 単体運営では赤字が長期化するリスクが高く、統合による規模の拡大とネットワーク効果強化が求められた。
- アプリ事業統合によってコスト効率・開発リソースを集中でき、赤字圧迫の軽減にも寄与。
- コロナ禍は統合を加速させた要因と考えらる。
【最後に】
- DeNAの配車アプリ戦略は、「赤字リスクを避ける分社化」と「市場支配力を高めるGO統合」の二段構えだった。
- 短期的には利益を取りこぼす可能性があったが、結果として市場シェア70%超のブランドを確立し、事業成長の基盤を作った。
- 経営判断の「結果論」としては成功例だが、当時の意思決定の難しさと戦略のリスクも有った。
ただし、GO 株式会社 の最新の公表資料を見ても、明確に「現在黒字化している/していない(営業利益が黒字)」という決算サマリーは公になっていないので、黒字か赤字かは不明。

