今回は「国交省は本当にタクシーデータを持っているのか?・・・・5%不足のライドシェア制度の杜撰さ」を書こうと思います。
とりま、最近は去年のライドシェ騒動(笑)が嘘の様に余り聞かれなくなりました。🤷♀️
去年のライドシェア議論を見ていると、国交省が精密な需給データを把握したうえで制度設計を行っているかのように語られる場面が多く見られました。しかし、実際には「本当にデータを持っているのか?」という疑問が自分には有りました。(苦笑)
特に、昨年導入された「不足車両5%」という基準に関しては、その根拠が極めて曖昧で、現場では「なぜ5%なのか」?という声が有った事は事実です。本当に妥当な数字なのか、それともデータが存在しないまま制度が作られたのか?。今回は、国交省が把握しているタクシーデータの実態と、5%不足という制度設計の背景を現場目線で見て行きたいと思います。
【仮装迎車問題と国交省の把握していない姿勢問題(苦笑)】
ライドシェア議論が盛り上がる中で話題になったのが「仮装迎車」でした。空車で走行しながら「迎車中」と表示し、アプリでの配車を受けやすくするための動きだと言われています。マッチング率を引き上げるための見せかけとして指摘されている問題でもありました。
ところが国交省は、この実態について「具体的な把握はしていない」と回答しています。
・どのように行われているのか
・どの程度の規模なのか
・実在するのか
こうした点について、開示できるデータはほとんどないという状況で、この段階で「本当にデータを取っているのか?」という疑問が強まるのは当然の事です。
【迎車板の扱いも誤解されたまま議論が進む】
迎車板を使用した配車方式は、もともとタクシーの「予約迎車」と同じ扱いで、国交省も関運局も適法と説明しています。この見解は昔から変わっていません。
しかし、ライドシェア議論の中では、「迎車板を使うのはズルいのでは?」とかという誤解が広がるなど、業界の基本的なルールですら共有されていません。
ここでも国交省は迎車板の運用実態を細かく把握しているわけではなく、議論の基盤となるデータが整っていないことが浮き彫りになっていました。
【そもそも国交省はタクシー需給のデータを持っていません】
タクシーには多様な乗車経路があり、流し営業、無線配車、アプリ配車、駅・空港の乗り場・・・・。
しかし、これらの
・流し営業の需給状況
・各乗り場の利用率
・アプリのマッチング率
・各タクシー会社の自社無線の配車率
といったデータを国交省は把握していません。
あるとすれば、一部の事業者が持つ「無線配車の営業機密情報」程度ですが、国交省が管理しているわけではありません。(苦笑)
国交省が持っているといえる唯一のデータは、毎月事業者が提出する「輸送実績報告」です。
ここに記載されているのは
・実車率
・輸送人員
・営業収入
といった大まかな指標だけで、これらのデータは地域の需給全体を読み解くにはあまりに粗く、精密な分析は不可能です。
【マッチング率データは、存在しないまま議論が進む現実で草】
近年、都市部ではアプリ普及の影響で「マッチング率」が需給を示す重要な指標になっています。しかし、国交省はこのマッチングデータを一切持っていません。
そのため、「アプリのマッチング率が低いから供給不足」という議論は、抑々論で本来成立しません。データがない以上、根拠の正確性は確認できないからです。
それでも政策議論だけが先行してしまうのは、非常に大きな問題です。
【そして生まれた不足車両5%という謎の制度設計】
こうした状況の中で、国交省は、「タクシーの不足車両が5%を超えたらライドシェアを認める」
という制度を打ち出しました。
しかし、なぜ5%なのかという根拠は明確に示されていません。(笑)・・・・10%でも3%でもなく、なぜ5%なのか?。なので、「そもそも不足台数を算出するためのデータが無いはずでは?」
という疑問が当然出てきます。
データが無いのに制度だけが形作られてしまった典型例だと言えます。
【データが無い限り、議論は空中戦のままです】
結局のところ、国交省が把握しているタクシーデータは輸送実績報告程度であり、需給を正確に判断できる指標はほとんど存在していません。
その結果、不足車両5%という曖昧な基準が生まれ、ライドシェア議論が空中戦になってしまっています。
タクシー市場の実態を正確に把握するためには、国交省が流し営業や乗り場、アプリのマッチングなど、実需に直結するデータ収集体制を整えることが不可欠だと思います。データ無しで制度だけを作れば、今回のような矛盾は今後も必ず繰り返されてしまいます。😱

