東京のタクシー乗務員の平均年収560万円時代のタクシー業界で「人件費高騰」は本当に値上げ理由になるのか?

タクシー料金

今回は「年収560万円時代のタクシー業界で「人件費高騰」は本当に値上げ理由になるのか?」を書こうと思います。 

とりま、前に2025年の東京特別区・武三地区の営収を書きました。11月の抜きの1日の営収は64,845円でした。これを月の営収にすると778,140円になり歩率を平均の60%とすると、月の給料は約470,000円になり、年収は560万円になります。 

この数字は年金を受給しながら仕事をしている人を含んでいるので、タクシー1本で稼いで知る人の給料は・・・・おそらくですが600万円は超えると思います。…東京はタクシーバブルで草。 

そんな乗務員が最も稼出いる東京で、運賃改定が行われる様で、その改定率は10.14%となるそうで、改定後は以下の表になるそうです。 

改定の理由は、ユーザーの利便性を高めるための投資(約2%)、賃金アップなど運転士の労働環境改善(約7%)、 燃料費高騰(約1%)等に伴う費用増を考慮。だそうです。 

ここで1つ腑に落ちない事が有ります。それは「賃金アップなど運転士の労働環境改善(約7%)」の部分です。 

年収600万に近づく乗務員の給料をさらに上げて、地方との差を広げる事は?・・・・ 

2026年1月28日に開催された「内閣府の第91回公共慮金等専門調査会」では、運賃の改定が見送られた様です。 

燃料費、特に軽油価格の高騰、車両価格や整備費の上昇を考えれば、運賃値上げそのものは理解できます。 

しかし、今回の値上げ理由として掲げられている 「人件費の高騰」 については、どうしても前記した様に強い違和感を覚えます(苦笑)。 

なぜなら、現在の東京のタクシー乗務員の収入水準は、すでに歴史的な高水準に達している からです。 

【平均営収6万円が生む、年収500万円の現実】 

東京特別区では、現在、1日の平均営収(税抜)が前記した様に 約6万円前後 と言われています。 
月12勤務、歩合率60%で計算すると、6万円 × 12勤 × 60% = 約43万円 
年収換算では、43万円 × 12か月 = 約516万円となります。 

つまり、年収500万円超が「特別ではなく、普通に狙える」水準 です。 

これは、かつて「低賃金・長時間労働」の象徴とまで言われたタクシー業界からすれば、 まさに 別世界の数字 と言ってよいでしょう。 

【歩合制なのに「人件費高騰」が理由?】

 タクシー業界の賃金体系は、ほゞほゞ完全な 歩合制 です。 

  • 運賃が上がる → 売上が増える → 自動的に運転手の給料も増える 

この構造の中で、「人件費が高騰したから運賃を上げる」という説明は、原因と結果が逆転している ように見えていします。 

実際には、運賃や需要が高いから、歩合給の人件費が増えただけなのに、会社が先に賃金を引き上げたわけではありません。 

それでもなお「人件費高騰」を値上げ理由に掲げるのは、 論理的にかなり無理筋 と言わざるを得ません。 

【それが嫌なら、A型賃金に戻せばいい】

 もし本当に、人件費が経営を圧迫しているというのであれば、今では絶滅危惧種の 
A型賃金(固定給+低歩合)に戻す という選択肢があります。 

これは、会社が一定のリスクを引き受け、 運転手に安定した収入を保障する制度です。 

しかし現実は、 

  • 完全歩合制 
  • 最低賃金ギリギリ保障給 

という形が続けられています。 

これはつまり、売上変動リスクは運転手に押し付け、 会社は安定収益を確保する 

という構造が温存されている、という事です。 

この状態で「人件費高騰」を理由にするのは 「かなり都合の良い説明」 と言わざるを得ません。 

【本当の値上げ理由は、固定費の上昇】

 今回の運賃改定の本質的理由は、むしろこちらの方でしょう。 

  • 燃料費高騰 
  • 車両価格の上昇 
  • 修理・整備費の増大 
  • 配車アプリ利用料 
  • システム関連コスト 

これら 固定費の上昇 こそが、経営を圧迫している実態なんじゃないかと思います。 

これだけなら、「燃料費等の高騰により値上げします。」・・・・で十分説明可能なはずです。 

それでも「人件費高騰」を前面に出すのは、 

  • 行政審査を通しやすい 
  • 世論の理解を得やすい 

という 政治的・制度的な理由 が大きいのでしょう。 

【東京と地方の“埋まらない格差”を拡大させる制度】

 この構造が最も深刻な影響を与えるのが、地方との格差 です。 

東京: 

  • 年収500万円水準 
  • 運賃値上げ → さらに収入増 

地方: 

  • 年収250万円前後 
  • 運賃を上げると客離れ 

同じ「タクシー運転手」という職業でありながら、 月収で2倍近い差 が生まれています。 

それにもかかわらず、「人件費高騰」を理由に、東京の運賃だけが上がる、この流れは、 制度的に地域格差を拡大させる構造 そのものです。 

【値上げの正当性と、制度の歪み】 

燃料費高騰に対応するための運賃改定は、確かに合理的で理解も得やすいでしょう。 しかし、年収500万円時代に「人件費高騰」を値上げ理由にするという、この説明には、どうしても無理筋です。 

今回の改定は、「値上げの是非」ではなく「制度の歪み」を問い直す良い契機として捉えるべきではないでしょうか?。 

この問題の第2回目の第91回の専門調査会では、国交省からの申請内容に対して、特に消費者委員会側の視点から運賃の妥当性についてさらに精査が必要との判断がなされた可能性があるそうで、その結果、運賃改定実施の決定はさらに先延ばしとなる見込みだそうです。通😱