今回は「平均営収の63,957円は本当なのか?業界新聞データから見える「年金ライン」が歪めるタクシー営収」を書こうと思います。
とりま、現任の乗務員の方の殆どの会社で業界紙の「東京交通新聞」を取っていると思います。自分の勤務する会社では休憩室にあります。
そこには「東京特別区・武三地区」の東京のタクシー輸送実績(速報)が毎月掲載されています。その他に毎月の7県のタクシー原価輸送実績が公表され自分が勤務する京浜交通圏の実績も東京ほど細かくは有りませんが一応掲載されています。
昔はその数字を見て色々計算して来ましたが、いつの間にか計算が億劫になったのとコロナ禍で書くのをやめて2年近くになります(苦笑)。
おそらく皆さんが気になっていた事は、コロナ禍では稼働率、コロナを関係なく「営収」だと思います。新聞発表の数字は「込み=消費税込み」の金額なので給料に転嫁できなく、数字を1.1で割った金額が給料を計算する数字になります。
直近で発表されたものは2025年10月の数字で、込み63,957円、抜き58,143円です。
自分はこの込みの数字、今回は63,957円は低すぎじゃネ゙?と思っていました。東京勤務ではないので肌感覚ではなく、年金を受給しながら乗務している乗務員がいるからです。
皆さんもご存知の様に、働きながら老齢厚生年金を受給している場合、年金が減額=年金カットされる基準金額は月学51万円になります。この基準は「在職老齢年金制度」によるもので、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が月51万円を超えると、超過分の半額が老齢厚生年金から差し引かれます。
ここまでの話が音が過ぎて(苦笑)ですが、要は、今回、業界新聞が公表した 29社・2,614台 のデータをもとに計算してみると、数字の裏側に、在職老齢年金制度が生む見えない上限*が浮かび上がってきました。要は、年金受給者は売上をセーブしているので「63,957円は低すぎじゃネ゙?」ってことです。
【業界新聞が示した平均営収】
業界新聞によると、対象となった29社・2,614台の集計結果は次の通りです。
- 1勤務あたり平均営業収入
- 税抜:58,143円
- 税込:63,957円
- 総人数:50,874人
厚労省が発表した「コラム1-4-④図 バス・タクシー運転手の年齢構成比について」では
- 65歳未満:52.4%
- 65歳以上:47.6%
一見すると、「1勤務あたり6万円前後が平均」という、よくある数字に見えます。
【12勤務換算で見えてくる別の側面】
この平均営収を、一般的な 月12勤務 で換算してみます。
- 税抜月間営収)58,143円 × 12勤務 = 約69.8万円
歩合率(振率)を 60% とすると、
- 給与相当額:約69.8万円 × 60% = 約41.9万円
ここに老齢厚生年金(月10万〜15万円)が加わると、
前記した在職老齢年金の支給停止基準=月51万円を超過する水準になります。
【65歳以上が営収をセーブする理由】
在職老齢年金制度では、前記したように給与相当額と老齢厚生年金の合計が月51万円を超えると、
超過分の半分が年金カットされる、という仕組みになっています。
そのため65歳以上の乗務員の中には、
- 勤務数を抑える≒」定時制勤務への移行
- 1勤務あたりの営収を 5万円前後 に調整する
といった形で、意図的に「踏み込まないライン」を作っている人が一定数いると考えられます。
これは怠慢ではなく、制度を踏まえた 合理的な行動 と言えます。
【全体平均から65歳未満の営収を逆算】
東京特別区・武三地区の税抜・抜き平均は 58,143円 なので、これを人数比で分解します。
人数内訳
- 65歳未満:50,874人 × 52.4% ≒ 26,655人
- 65歳以上:50,874人 × 47.6% ≒ 24,219人
抜き全体営収合計(仮想値)
- 58,143円/日 × 50,874人 = 約29.6億円/勤務
65歳以上分を1日50,000円と仮定
- 50,000円 /日× 24,219人 = 約12.1億円
残り=65歳未満分
- 29.6億円 − 12.1億円 = 約17.5億円
65歳未満の1人あたり営収
- 17.5億円 ÷ 26,655人 ≒ 約65,500円(税抜き)
【消費税込換算するとどうなるか】
今回の営収は税抜表示のため、消費税10%を加味すると、
- 65,500円 × 1.1 ≒ 約72,000〜73,000円(税込)
となります。
【試算結果の纏め】
以上を整理すると、
- 公表されている税抜全体平均:約5.8万円
- 65歳未満の実質的税抜営収:約6.5万円
- 税込換算:約7.2〜7.3万円
という構図が浮かび上がります。
【平均営収が示さない現実】
この差は、現役世代の営収が特別に高いというよりも、年金制度を意識して営収を抑える層が平均値を引き下げている結果と見るべきでしょう。
平均営収という数字は便利ですが、年齢構成と制度要因を分解しなければ、現場の実態は正しく見えてきません。(苦笑)
最後に、当記事では試算の簡便化のため、年金受給者の営収を1日5万円と仮定して計算しましたが、老齢厚生年金の平均受給額の約14.6万円を踏まえて計算すると、実際には4.5万円前後に抑えている乗務員も少なくないと考えらます。自分の周りで年金を受給しながら乗務している乗務員を見ても営収は4.5万円位です。
新年早々に暫く振りの数字遊びで(笑)👌


