今回は「営業区域外で乗せたら違法?国交省が示す「区域外営業」実務のリアル」を書こうと思います。
とりま、タクシー乗務員の方なら「区域外営業」の意味は当然知っていると思います。この「区域外営業」とは、タクシーには営業してよい地域が定めらていて、所謂・・・「縄張り」の様な物です。(笑)
この営業区域はタクシーが客を乗せた時、又は降車した時のどちらか一方がこの「営業区域」である事が必須条件になります。
例えば、羽田空港は東京都に有るので横浜の営業区域外なので、横浜のタクシーは東京や千葉などには「営業区域外」になるので乗車させることができません。乗車させれ事が出来るのは「京浜交通圏」だけです。
横浜市栄区の隣の方法的には横浜の大船も営業区域が京浜交通圏では無いので無理ゲーで(笑)
タクシーやハイヤー業界界隈で時々耳にする「営業区域外営業」。「発地か着地のどちらかが営業区域内ならOK」と思われがちですが、実はそれだけでは済まないのが実務の世界です。(苦笑)
国土交通省の解釈では、営業区域外で旅客を乗せた時点で「違法営業」*とみなされます。
今回はその根拠となる行政解釈を交えながら、なぜ「発着どちらかOK」では通らないのかを考えたいと思います。
【法文上の原則】
道路運送法第20条では、「発地および着地のいずれもが営業区域外である運送を行ってはならない」と規定されています。
つまり、条文を表面的に読めば「どちらかが営業区域内であれば合法」にも見えます。
この解釈に基づいて、「静岡で客を乗せて横浜で降ろすのはOK」と思う乗務員も少なくありません。
ところがどっこい、行政の実務はそう単純ではない様です。(苦笑😱
【国交省の実務解釈】
国土交通省および地方運輸局の運行基準・解釈資料では、次のように明確に示されています。
「営業区域外で旅客を乗車させることは、営業区域外営業に該当する。
たとえ降車地が営業区域内であっても、営業区域外での乗車は認められない。」
(出典:「タクシーの営業区域外旅客運送とは」国交省近畿運輸局/「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」国土交通省)
この解釈は、各運輸局が事業者向けに配布している「一般乗用旅客自動車運送事業の運行基準」にも共通していて、乗車行為そのものが「営業」と見なされるため、乗車地が営業区域外であればその時点で違反となります。
つまり、条文上の「どちらかが区域内」という解釈よりも、実務では「乗車地重視」の運用が徹底されているのです。
【なぜこの解釈なのか?】
この厳しい運用には、行政としての現実的な理由があります。
- 区域秩序の維持→他地域の事業者が無制限に乗客を取ると、地元業者との競合が発生するため。
- 監督の容易化→運輸局は営業区域ごとに許可を出しており、区域外営業を認めると監督が難しくなる。
- 立証の単純化→契約や配車記録で「どこで契約したか」を証明するのは困難なので、そこで「乗車させた場所」を基準に一律で判断している。
こうした理由から、「営業区域外で乗せた=営業行為をした」=違法営業というのが行政の方針です。
【違法とされる典型パターン】
- 区域外で待機中に乗客を乗せた
- 他県で帰り便の客を拾った
- 配車アプリで区域外の予約を受け、そのまま迎えに行った
これらは「降車地が区域内」でも違反として扱われるケースが多い様で、実際に行政処分の対象になっています。
【ハイヤーとの違い】
ハイヤーは「契約地基準」で動くため、契約=運送引受けが営業区域内で行われていれば区域外での乗車も可能です。
たとえば、横浜のハイヤー会社が自社営業所(中区)で契約を受けた上で、箱根に迎えに行き静岡まで送る・・・・・これは合法。🙂
契約地=営業区域内だからです。
ただし、静岡でそのまま新たな客を乗せて神奈川に戻るのは契約外の営業となり違法扱いになります。
【タクシー乗務員の目線で】
「いや、こっちは戻り便で空気運んでるんだぞ☹️」と言いたくなる気持ち、よくわかります。
でも、行政のロジックは上記した様に「秩序のための線引き」なのです。🤷♀️
現場から見れば理不尽でも、「乗せた場所=営業地」と割り切るしかない様です。
【纏めると、乗車地こそが営業地】
法律上の文言では「発着どちらかが区域内ならOK」と見えますが、実務では国交省の通達・運行基準によって「乗車地基準」で運用されています。
したがって、区域外で旅客を乗せた時点で目的地が営業区域内でも「営業区域外営業=違法」となる様です。
区域外で空車のまま戻るのはつらいのですが、現場の安心のためにもこのルールは理解しておく必要があり様な気がします。物理的な道路の境界線よりも、営業区域の線のほうがずっと厳しい・・・・・これが日本の現実です。😱🤷♀️

