今回は「日本交通が上場できない理由・・・・東京四社の歴史・債務問題と私的整理の実態」を書こうと思います。
とりま、タクシー業界で「東京四社」といえば、耳タコかもしれませんが(苦笑)、大和・日本交通日・帝都・国際自動車=kmを指します。
かつてタクシー界の大日本帝国などと呼ばれた4社ですが、実はこの4社、会社の成り立ちやバックボーンがまったく違うことは、意外と知られていません。
今回はその中でも、「なぜ日本交通だけ上場できないのか?」をこの業界では密かに語られるテーマを考えてみたいと思います。(苦笑)🤷♀️
ってか、自他共認めるあタクシー業界業界NO1と言われる日交が非上場って変だと思いませんか?.😱
【東京四社の内訳:私鉄系と独立系】
まず、東京四社の分類から整理するると・・・
- 帝都自動車 → 京成電鉄グループ=私鉄系
- 大和・日本交通・km → 独立系
となり、この中で株式上場しているのは 大和自動車グループのみで、上場日は1949年5月16日と、戦後まもない頃からの歴史ある上場企業です。
一方で帝都は私鉄系、残る日交とkmはバックに私鉄資本を持たない、完全な独立系です。
【上場しているタクシー会社は実はほとんどない】
タクシー業界で株式上場している企業は意外と少なく、実質、次の企業しかありません。
- 大和自動車交通
- 第一交通産業
- 神奈川中央交通=神奈中
さらにバス・タクシー事業を持つ企業として、三重交通・神姫バスなどがあります。
つまり、タクシー・ハイヤー事業だけで上場しているのは3社ほでど。つまりタクシー業界全体で見ても「上場はかなりハードルが高い」ということになります。
【日交だけが上場していない理由とは】
ここからが本題です。結論から言うと、日本交通が上場していない理由は、「上場しない」のではなく、事実上「上場できない」から。
なぜかというと、かつて日交が抱えた「1900億円の債務問題」 が、今でも金融機関側に強烈に履歴として残っているためです。
【日本交通を襲った1900億円の債務】
日交をよく知る方ならご存じかもしれませんが、2代目・川鍋達朗氏の時代に、バブル崩壊の影響を受けて約1900億円もの負債 を抱える事態になりました。
現在「タクシー王子」と言われ本まで出版した川鍋氏も齢55歳になり、王子と呼ぶには?ですが、日交の会長、全ハイ・タク連会長でもある川鍋一朗氏3代目社長は、その莫大な負債と向き合い、メインバンク主導で再建を進めました。
その過程で、
- 赤坂の本社ビル
- 祖父の代からの元麻布・敷地5000坪の自宅
- 多数の不動産
- グループ会社30社前後
- サテライトホテル(横浜)などの資産
を次々に整理・売却をこないその結果、約1300億円は返済できたとされています。
しかし・・・残り 600億円 はどうなったのでしょうか?
【法的整理は回避。だが実際には準法的な私的整理の可能性】
日交は会社更生法や民事再生法といった法的整理はギリギリで回避しました。では、どうやって債務を片付けたのでしょうか?
業界内では、
「裁判所を通さない準法的な私的整理を行ったのではないか?」と言われています。
私的整理とは、
- 債権者の銀行などに返済猶予=リスケを要請
- 金利の減免
- 債務の一部放棄
- 経営再建案の提出
などを、裁判所を通さず「銀行との話し合い」で進める方法です。
つまり、個人でいう「債務整理の会社版」 に近いものです。
日交は資産売却で返済した1300億円のほか、残りの600億円についても全額返済したわけではない可能性が高いのです。
【ここが本質、金融機関の内部履歴は消えない】
銀行は、法的整理だけでなく私的整理の情報も内部データとして半永久的に保持します。
個人でいうところの「ブラックリスト」と同じで、外部的には7年で消えると言われますが、金融機関の内部では 一生残る情報 です。
株式上場には、
- メインバンクの推薦
- 引受証券会社の審査
- 金融機関の信用力
が必須なので、つまり、過去に大規模な私的整理を行った企業は、上場審査で極めて不利 になります。
日交ほどのタクシー業界の日本一の大企業であっても「過去の債務整理」という壁は越えられないのです。
【纏めると】
・東京四社の中で、帝都は私鉄系、大和は上場企業
・日交は規模こそ国内最大だが、上場に必要な金融機関の信頼が決定的に低い
・理由は過去の1900億円債務問題と、その後の私的整理
・結果として、日交は「上場していないではなく上場できない」 状態にある

