今回は「陸運局の『査察の端緒』はチクリなのか?タクシー現場で誤解されがちな査察メカニズム」を書こうと思います。
とりま、タクシー会社が鬼より怖い(苦笑)陸運局の監査ですが、横浜や東京など関東地方の監査を行うのは「関東陸運局」で、そのホームページには「一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の状況」と言うページが有り、令和2年から令和7年10月迄に処分された事業者名と処分内容が記載されています。そのURLはhttps://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/page3/jyouyou/index.htmlです。
覗いてみると、自分の勤務する会社が査察受け5件の違反が有った様で、その結果は文書警告を受けていました。(苦笑)です。洒落にな無くて(笑)です。
で、見て頂くと分かると思いますが、「違反行為の概要」の欄には、全て「法令違反の疑いがあること を端緒として監査を実施・・・」となっています。端緒とは物ごとの始まり・いとぐち・手がかり・きっかけなどを意味します。
陸運局が行う「査察」は、単純に「通報=即査察」ではなく、行政ならではの前記した「端緒」という仕組みに基づいて動いている様です。
【【陸運局の査察は必ず「端緒」から始まる】】
国交省(陸運局・運輸支局)の公式説明では、査察は「法令違反の疑いがある旨の情報を端緒として実施」とされています。
この 端緒 という言葉が曲者で、業界ではほゞほゞ通報 と同義に受け取られがちですが、実際は もっと広い意味を持つ行政用語 です。
端緒には以下が含まれている様です。
- 利用者からの苦情
- 元従業員や現場からの通報(いわゆるチクリ)
- 行政への相談
- 内部告発
- 警察・自治体など他機関からの情報
- 定期監査で不自然な点を発見
- 事故・トラブルに伴う情報
- メディア報道からの気付き
つまり「端緒≓ 通報」であり、通報は端緒の中の一部に過ぎません。
【【とはいえ、現場では「通報が最も多い端緒」という事実】】
行政の建て前を理解しても、タクシー会社に査察が入る典型パターンはやはり次の3つ有る様です。
- 乗客からの苦情通報=実質チクリ
→ 違法な営業行為、乗務員の勤務実態、事故隠し など - 元従業員の内部告発
→ 点呼不備、勤務管理、走行記録の扱い、法定休憩の扱い など - 競合会社からの通報
→ 違反営業、待機場所問題、固定客の争い など
現場の乗務員が「誰がチクった?」と勘ぐるのも理解できますが、実際に査察につながる情報は
通報者の身元が分からないケースがほとんどだそうです。(苦笑)
その結果、陸運局は通報内容の真偽よりも、情報がある以上、確認しないと行政としての責務を果たせない、という動き方をします。
ですから、査察=通報とは限りません。
ただし、 通報が端緒全体の中で最も多い事は これは現場の肌感覚と一致します。
【【タクシー会社が狙われやすいポイント】】
査察が入る会社には、だいたい以下の共通点がある様です
- 事故件数が多い/報告が遅い
- 休憩管理・点呼管理が甘い
- 乗務員の離職率が高く内部告発が起きやすい
- 特定の乗務員が元凶の場合の苦情や他の苦情が集中している*
- 地元で「問題会社」として有名
特に「点呼関連」と「勤務管理」は、他の苦情通報でも監査でほゞほゞ100%見られる項目です。
【【纏めりと端緒=チクリではないが、現場の感覚は半分当たっている】(笑)】
端緒とは「疑いを示すあらゆる情報」で、行政用語
- チクリ=通報は端緒の一要素にすぎない
- しかし実務では通報が最も多い端緒である
- 会社内部の管理に甘さがあると、通報が増え査察につながりやすい
「誰が通報したか?」を気にする前に、通報されても困らない体制を作る 方が長期的には確実に得な様です。
出庫前の点呼で帰庫時間を厳しくして帰庫時間を守らせるのは、万一、査察が入った時に前記した「勤務管理」で法定労働時間オーバーを指摘されなくする事が目的の様です。(苦笑)🤷♀️

