今回は「タクシードライバーの61%が月収100万円」記事を読んでみた(苦笑)」を書こうと思います。
とりま、いつもの様にナットをパトロールしていると、Yahoo!ニュースで「「月100万円稼ぎました!」 なんと都内タクシードライバーの61%が達成の現実――異例の数字は、時代の追い風か、それとも新常識か?」という記事を発見(笑)しました。
掲載日は2026年3月13日です。その記事のURLは以下になります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/62bd49fb2cdc0a0ea6bcc8b91ed679adc8a15059
Yahoo!ニュースを眺めていたら、なかなか景気のいい記事で(笑)です。
「都内タクシードライバーの61%が月収100万円を達成」
トップドライバーはそんな世界でしょうが、もし本当に都内タクシードライバーの61%が月収100万円を達成してなら、今ごろ東京のタクシー会社には転職希望者が殺到していそうなものです。
しかし、少し落ち着いて記事を読むと、いつも自分の大好物の(笑)「数字のマジック」がきれいに並んでいました。
しかも今回は、なかなか分かりやすい教材レベルで草です。
【「月収100万円」ではなく「100万円を稼いだ経験」】
まず最初のポイントは、記事の調査結果はこう書かれています。
「東京都で働くドライバーの約61%が、月収100万円以上を稼いだ経験がある」
この「経験」という言葉、さらっと流すと見落としますが、かなり大事です。
つまりこれは
・毎月100万円稼いでいる
ではなく
・人生で一度でも100万円を超えた月があった
という意味です。
例えば
・年末の繁忙期
・インバウンドが多い月
・イベントシーズン
・まぐれだった
こういうタイミングで一度でも売上が跳ねれば「経験あり」です。
極端な話、5年働いて1回だけでも100万円を超えれば、立派に「100万円経験者」です。
この条件で「61%」と言われると、なんとなくすごい数字に見えてしまうかなか上手な表現です。
【サンプル数は177人】
次に調査対象です。
アンケートは
全国のタクシードライバー177人
日本のタクシードライバーは数十万人規模と言われています。
その中の177人。
もちろんアンケートとしては成立しますが、「業界の実態」として語るには、ちょっとコンパクト過ぎです。
しかも記事では「東京都のドライバー」と書いていますが、
・東京の回答者が何人なのか
・どの会社なのか
・どんな働き方なのか
このあたりは、特に詳しくは書かれていません。
【アンケートを実施した会社】
そして今回、個人的に一番面白いポイントがここです。
この調査を行ったのは、東京都新宿区にある人材採用やキャリア支援サービスを提供する会社のX Mile(クロスマイルという会社です。
つまり、ざっくり言うと、人材紹介ビジネスの会社です。
これは別に怪しいという話ではありませんが、ただ、ちょっと想像してみてください。
人材紹介会社が出す記事のテーマが
・タクシーは思ったより稼げる
・月100万円も夢じゃない
・今タクシー業界が熱い
こういう内容になるのは、まあ自然な流れです。
魚屋が「魚は体にいい」と言うのと、だいたい同じ構図です。
嘘ではない・・・・ただ、少し都合のいい部分が前に出る。
それだけの話です。
【アンケートは誰が答えるのか問題】
もう一つ、アンケートでよく起きることがあります。
こういう調査に答える人は、だいたい次のどれかです。
・仕事がうまくいっている人
・業界に前向きな人
・アンケートに答える余裕がある人
逆に
・あまり稼げていない人
・仕事に疲れている人
・業界に不満がある人
こういう人は、そもそもアンケートに答えません。
するとどうなるか。・・・・
結果として
「うまくいっている人の割合」が自然と増えます。
統計用語ではサンプリングバイアスとか言うそうですが、まあ簡単に言えば「元気な人の声が大きくなる現象」です。
【ニュースの数字はだいたいこのパターン】
今回の記事、よく見ると次の3点セットがきれいに揃っています。
・サンプルが少ない
・「経験」という条件
・調査主体が人材系企業
これ、実はネット記事ではかなりよく見るパターンです。
別に数字が嘘というわけでは無く、ただ、読み方を少し間違えると
「タクシーは6割の人が月100万円」・・・・みたいな印象になってしまいます。
数字というのは不思議なもので、
嘘をつかなくても、見せ方だけで今回の様に印象はかなり変わります。
ちなみにもし本当に
「都内タクシードライバーの6割が月100万円」
なら、今ごろ東京のハローワークは
タクシー志望者であふれているはずです。・・・溢れているかは知らんけど(笑)
現実がそこまで騒がしくないところを見ると、どうやら世の中はもう少し落ち着いた数字で動いているようです。
記事の中に「配車アプリの影響」という記事が有り、「配車アプリの広がりは、タクシー業界の収入の形を大きく変えた。調査では、約58%のドライバーがアプリ導入後に稼ぎやすくなったと感じている。 」と記載していますが、その58%はどの様な調査で58%の数字が出ているのかが全く割りません。
全国は東京だけか都心部だけか、などが全く分からなくて58%の乗務員がアプリのおかげで稼ぎ易くなったとく様に読めてしまいます。
58%が出たその調査内容が問題なのです。
【よく使われる統計の基準】
アンケート調査では一般的に
- 信頼水準:95%
- 誤差:±5%
という条件をよく使うそうです。
この条件だと必要サンプル数は次の式で求まります。
必要サンプル数
= 約384サンプル
これは母集団が
- 1万人
- 10万人
- 100万人
でも、ほぼ同じです。
つまりタクシードライバーが何十万人いても、 約400サンプルが一つの目安になります。
って事は、177人のサンプル数は余りも少なすぎです。😱
【余談】
超アバウト場計算式
調査に必要な人数 = (信頼度の係数² × ばらつき) ÷ 許容する誤差²で計算するそうです。
これを一般的なアンケートの条件で入れてみます。
まず「信頼度」。
多くの調査は 95%の信頼度を使います。
このときの係数は、約2です。
次に「ばらつき」は、 割合の調査では一番ばらつきが大きいケースを想定して
0.5 × 0.5 = 0.25
を使うそうです。
最後に「許容する誤差」は、よく使われるのが±5%(0.05)だそうです。
すると計算はこうなります。
(2² × 0.25) ÷ 0.05²
これを順番に計算すると
2² = 4
4 × 0.25 = 1
0.05² = 0.0025
つまり
1 ÷ 0.0025
になり、これを計算すると約400になります。👌

